9月28日(金)の朝です。今日も晴れ。今回の旅には、今お気に入りの香水を二つ持ってきました。一つは『アトラップ レーヴ / ルイ ヴィトン』です。ジャック・キャヴァリエ=ベルトリュによる調香はカカオの香りをベースにしたピオニー、ライチ、ターキッシュローズ アブソリュートなどのフローラルノート。「夢を捕まえて」というネーミングも気分に合っています。ルイ ヴィトンはemballeur(アンバルール)=旅の荷造り業者としてスタートしたブランドですから、香水1本にも旅の間に破損しないように専用ケースを用意しています。鮮やかなコルシカ島の空に映えるように、フューシャカラーのケースを選びました。
今日はアジャクシオからボニファシオへの移動日。順子さんと由香さんに3日遅れて昨日コルシカ島に到着した私の為に、8時から1時間のアジャクシオ観光プチ散歩が企画されていました。
ホテルを出てすぐに、アジャクシオの映画館。「レティシア」という名はボナパルト家の一族の女性の名前。後のフランス皇帝となるナポレオンの生まれた土地ならではのネーミングです。
海に向かって歩いていくとジェノヴァ統治時代からの立派な7階建ての建物が続きます。情緒があるけれどエレベーターはありません。ここに住んだら健康になれそう。
統領政府期にナポレオン・ボナパルトがレジオン ド ヌール勲章を制定したことの記念碑のあるマレシャル・フォッシュ広場では、マルシェが開かれています。
AOC(=アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ=製造過程および最終的な品質評価において、特定の条件を満たした農産物に与えられる認証)を受けた蜂蜜。聞き間違いでなければ600,000匹の蜜蜂を飼育されているそうです。コルシカ島の特産の栗や、マキに咲く花々の蜂蜜を試食させていただいたらとても美味しい。頭の中でトランクの重量制限を計算しながらお買い物をします。
レジオン ド ヌール勲章記念碑の前に置かれたカゴで、サボテンの実を売っているのを見つけました。グラースでも「美味しいわよ。種が多いけれどね」とよく聞きました。「まだ食べたことないのですが、これは美味しいですか?」とアンリさんに聞いたら「買いましょう」と。札には「未開の地のイチジク」って書いてあります。なるほど。荒野にあるいちじくのような果実、というほどの意味でしょう。一つ€0.4、50円くらいですね。南フランスで見た野生のものよりもふっくらしていて、美味しそうです。
魚市場も覗きましたら水槽にいるロブスターと氷の上のカジキマグロがお出迎えしてくれました。このお店のマダムが、私が日本人と知ると話題は「活け締め」に。魚を新鮮に保つ日本の伝統的な「活け締め」の技法が今、フランスでもブームだそうで「フランス人は生臭くない魚の美味しさを知り始めたのよ!」と熱弁をふるってくださいます。よくよく聞けば、ここコルシカ島にも活け締めのテクニックを身につけた漁師さんがいるそうです。
調べてみると Damien Muller(ダミアン・ミュラー)さん。カンヌのレストランや、ムジャンの『ムーラン ドゥ ムジャン』にも活け締めしたお魚を卸していらっしゃるみたいです。
Damien Muller - Maître Pêcheur Ikejime オフィシャルサイトhttps://www.corse-ikejime.com/
マダムお手製のスープ ドゥ ポワソンを瓶詰めで売っていて、欲しいなぁ、と思ったけれど冷蔵の問題と液漏れが怖くて断念。今度はキッチン付きアパルトマンタイプのお部屋を借りて、このマルシェの新鮮な材料でお料理をしたいなぁ。ゴールドのアクセサリーがよく似合う、女優さんのように美しいマダムに別れ際に思わず「お美しいですね」とお伝えしたら、耳が真っ赤になられて…可愛らしかったです。
アジャクシオ港の漁師さんたちの船が戻ってくる場所。陸に近いところでも海水は素晴らしい透明度で小魚たちの姿が見えます。
こちらは英雄ナポレオンの生家。10歳までこの建物の2階に住んでいたそうです。
その隣のレストランに、ナポレオン。
ホテルに戻る途中、ひときわ美しい建物がありました。
映画『Les intouchables(=邦題『最強のふたり』)を観ましたか?」とアンリさん。フランスへのフライトの際に耳慣らしの為に観るフランス映画をいくつか決めてあるのですがこれはその中の一つ。「何回も観ています」とお答えすると、このメゾンはコルシカ島の名家の一つのポッツォ ディ ボルゴ家のもので、映画の主人公であるパラグライダーの事故で首から下が麻痺してしまったフィリップ、つまり富豪貴族の duc Pozzo di Borgo が住んでいた家だそうです。
現在は4つ星ホテルになっています。エントランスから見えるランの花が美しくて次回はこちらにも宿泊したい。 コルシカ島に行く前に、proficeの稲葉 智夫様から「コルシカ旧家の方の香水ブランドがありますよ」と教えていただいたのが Pozzo di Borgo parfum (ポッツォ ディ ポルゴ パルファン)。同じ家のご出身なのでしょうね。出発前にブランドにコンタクトを取ってみたのですが返答を頂けず。それにアジャクシオでの取り扱い店としてHPに掲載されていたパフュームリー Bonheurは閉店していて、残念ながら今回はご縁がありませんでした。コルシカの旧家は必ずパリにも家を持っていて、このブランドもオフィスはパリにあります。次回のパリで、LIQUIDES か JOVOY で体験することに決めました。
帰りのフライトでもうすぐ羽田に着く、という時に思い出して映画のラストを確認。確かに「Philippe Pozzo di Borgo は、再婚して二人の娘の父となり、現在はモロッコに住んでいます」と。
ドゴール広場、別名ダイヤモンド広場と呼ばれるこちらにあるのは、若き日の馬に乗ったナポレオン像。兄弟のジョセフ、ルイ、ルシアン、ジェロームと共にいます。
どこの都市でも好きな場所、郵便局の前を通ってホテルに戻ります。
1時間のアジャクシオ散歩についてだけでもたくさんの興味深いことがあり過ぎて。コルシカ日記、いつまでも終わりそうにありません(笑)。もはやブログではなく、備忘録としてお読みいただければと思います。
コルシカ島の旅 その5に続きます。
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