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執筆者の写真地引 由美 Yumi JIBIKI

お守りとしての香り

 書けない、書けない…いくつかの香水のレビューが書けなくて書けなくて(笑、こうやって繰り返すほど書けなかった)。香水は時代の反射像である(ジャン=ピエール・ルルゥ氏)からこそ、あれもこれもと書きたいことが枝葉を伸ばしてそれに絡め取られ、その後の予定も渋滞し始め、なんとも整理できなくなったここ4、5日。  昨日は思い切って気分転換。


 ポワント(トウシューズ)を買いに出かけました。



 再びトウシューズを履こうなんてこの年で何を無謀なことを、と思われそうですが、自分でもそう思っています(笑)。



 再挑戦を決めたからには、ケガ防止のためにお助けアイテムも必要。バニオンケアサポーターは足裏の横アーチを補助してくれるので外反母趾の悪化を防ぎ、ハイヒールを履く時にも役立ちそう。



 日本でバレエ用品といえば、チャコット。その歴史はもう70年にもなるのですね。商品レンジも広がりコスメも充実。普段使いもできる良さそうなルースパウダーを見つけてこちらも購入。



 初めてのレオタードもチャコットだったなぁ、と思い出しつつぼんやりしていたら「ポワントに刻印サービスがありますがどうしますか?」と聞かれ、たくさんの図柄の中からローズとキーを打刻してもらいました。



 履く左右を決めて、右足には赤いハートを書き入れます。リボンの長さを整えて、ライターの火で軽く炙ってほつれ止めをします。



 これで簡単な準備は終わり。今は、接着剤とサテン生地とゴムと木の香りがします。  上手く踊れる様に、と願いつつ踵の内側に香水をつけておくのが昔からの習慣。色々な時にお守り代わりに香水を纏う方って多いですよね。古代から香りには願いが込められていたから、それはごく自然なこと。今月は、古代の香りの使い方から1920年代くらいまでの香水に関するzoom講座を行います。まだ一般に告知をしていないので、こちらも早くしなきゃ。 久しぶりのトウシューズ。どの香りにしようかしら。今回は、ロジーヌのバレリーナシリーズからどれかを選ぶことにします。そしてレッスンで履き始めると滑り止めの松ヤニの香りが加わって、私のシューズ、という感じに育っていきます。

 ゆっくりとこんな1日を過ごした後、捉えることが難しい香りの軌跡の一端を捕まえることが出来ました。さぁ、書こう。

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