チャンドラー・バール氏とお会いしたのは2009年。日本フレグランス協会主催の特別セミナーで、ご著書『匂いの帝王(早川書房)』についてのご講演でした。香水に興味がある方なら、この本についてはきっとご存知でしょう。
10年前の携帯で撮った画像かしら。画像が荒いですね。講演の後で友人とチャンドラーさんを囲んだ1枚。そして会場を出て新宿駅に向かうと、改札を前にして記憶に沁み込ませるように新宿の匂いを嗅いでいるチャンドラーさんに会いました。
その後、2013年3月には彼が館長を務めていたニューヨークの THE MUSEUM OF ARTS AND DESIGN で開催された The Art of Scent展(素晴らしかった!)で再びお会いしました。
チャンドラー・バール氏と初めてお会いしてから10年の時が流れ、2019年11月16日土曜日。
アテネのレストラン Tzitzikas kai Mermigas(ズィズィカス カイ マルミガス)で、ギリシャワインを頂きながら『匂いの帝王(早川書房)』で描かれていた天才科学者、ルカ・トゥリン氏を前に出来るとは。そして、大沢さとり様とルカ・トゥリン氏お二人の香りに関わる素晴らしい人たちのこんな笑顔を目にすることができるとは、なんという眼福。
その日の様子は大沢さとり様のブログからご覧ください。 パルファン サトリの香り紀行
思えば、フランスでのスケジュールを立案中に「アテネでルカ・トゥリンさんにお会いできるの」との大沢様の言葉に、すぐにアテネまで同行させていただくことを決めました。
持参した『世界香水ガイドⅢ(原書房)』、お持ちでなかったようで、をお渡ししたらとても喜ばれて。笑顔で眺めていらっしゃいました。
盛り上がる会話の間に「一つの香水の評価にどれくらい時間をかけるのですか?」とお聞きしてみたところ「10秒で終わるものもあれば、10年間かかる時もありますよ」と。なぜこの質問をしたかというと、友人のジャン=ミッシェル・デュリエさんの香水『ブルー フランボワーズ』の紹介ページで、香りを評価する間に疑問が生じたら、時にパフューマー自身に連絡をして理由を聞く、ということをされていると知ったから。このように誠実に評価されているならばどれくらい時間がかかるのかしら?と思っていたのです。
それから興味深かったのは、香りはアートである、ということについてお二人がお話しされていた時。「ヨーロッパのアートの基準は未だに古代ギリシャ、ローマ美術を規範とする影響が大きく、フランスのアカデミー・デ ・ボザールでさえもそれを守ろうとしている。香り?匂い?形も無くただ感じるだけのものがなぜ芸術なんだ?という風潮がまだ根強くあるんだよ」とのこと。それでもやはり香りはアートであると。
ヨーロッパの人たちが何かというとすぐ古代ギリシャ、ローマのことを喩えにすることを思い、この後パリでお会いするはずの人の顔が浮かびました(この日の時点では、まだメールのお返事が戻って来ていなかったので「はず」と、笑)。
パートナーのタニヤ・サンチェス様と。肌の上の香りを確かめ合うお二人。左手にムエット、右手に愛する人の手、なんてステキな光景。
この仕様書を作成した時から約半年。エレクトラ パラス ホテルのお部屋に備えてあった立派なショッパーに入れてお渡しの準備も完璧。カフェをいただく頃になって、ようやくほっとしました。
大沢様のおかげで、私もルカ・トゥリン氏とタニヤ・サンチェス氏のサインを頂くことができました。
ホテルの部屋にあった栞を挟んで日本に持ち帰りました。栞に書かれているギリシャ語の意味は " knowledge brings prosperity"。プラトンの言葉です。
2019年の年末、テーブルの上にこの10年を振り返らせてくれる2冊の本が並んでいます。
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