私が香水を売っていた頃はお使いつけの香水を「いつものを」と、買いにいらっしゃる方が半数以上だった記憶があります。担当店舗が老舗百貨店だったというお店の性格も大きいでしょうが、いらっしゃる方は皆ステキでした。外見ではなく在り方がです。バレエしかしていなくて世間知らずだった私は、配属されたばかりの時は特に電話での注文にドキドキして「麹町の清水です」という言葉に何食わぬ体でお返事しながら顧客台帳を大慌てでめくったり、お名前の漢字をお伺いすると「『あつこ』のあつの字は、平あつもりの『あつ』よ」というお返事に電話を切ってから急いで確認したり。
ところで「大人買い」という言葉は大量、または多数買いを表すことになっているけれど、一つを使い切ってからのリピート買い、または新たな品物を購入することこそ今に相応しい「大人買い」ということではないでしょうか。始まりは食玩や漫画などの子供向けの低価格の商品を、大人になってから一度に買うという行為から生まれた言葉ですから、香水という、少なくとも高級な香水とは元々相性の良い言葉ではないとも思います。
資料的 職業的 な収集行為などは自ら「大人買い」とは吹聴しませんし、たくさん購入した時でも自ら「大人買い」とは言わない方はもちろんいらっしゃるし。
もちろん、たくさん欲しくて欲しくてたまらない時期というのはあるし、次から次へと流れ込んでくるSNSの情報は誘惑の塊。それでも、手元にある香水はなるべく使い切ってあげたいと思う。
10年前に購入したこのセット、使いきれていないけれどたっぷりと愛を捧げた香りです。
香水の液体は遮光の脱酸素ボトルで保管している機関はあるけれど、香水にまつわるガジェット的なもの、多くはGWPであるけれど、こういうものは保存が難しいですね。
セットの中のポーチはもう素材が劣化しています。先日の撮影中にほろほろと崩れてきました。気に入って、パーティバッグがわりに持ったりもしていたものです。お別れする前に、動画に残してあげるのは供養がわりになるかしら、と。香水にまつわるものに対しては、どうも感傷的になってしまっていけません。
こちらの動画で紹介しています。 ↓ YouTube パーソナルフレグランス チャンネル:香水の基礎知識 第8回 フレグランス製品 その1 https://youtu.be/emMshUEA2HU
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