今年は海外に行けるかしら?とチャンスを狙っていましたが、やはり難しかったですね。充電不足の気持ちのまま、な感じで残念です。それでも、嬉しいニュースは届きます。ご尊敬申し上げる歴史家であり作家、香水史家のエリザベット・ドゥ・フェドー氏から新著を発表したとのお知らせもその一つでした。日本で最も読まれている彼女の書籍は『マリー・アントワネットの調香師 ~ジャン・ルイ・ファージョンの秘められた生涯』でしょうか。
ご自身の香水ブランド ARTY FRAGRANCE BY ELISABETH DE FEYDEAU では、ヴェルサイユ コレクション としてキャンドル、ルームフレグランス、オー ドゥ パルファン などを展開されていらっしゃいます。そして、エリザベットさんは ル パルファン ある感覚 - 時代をいろどる香りとミューズたち の仏語オリジナル本の著者のお一人です。
2012年から2015年にかけて、日本語版の出版準備のスタート時と完成時のご挨拶にヴェルサイユの素晴らしいご自宅にお伺いさせて頂きました。
その時にお話ししたことなどを Dictionnaire amoureux du parfum の Japon の項にまとめてくださいました。この本はエリザベットさんが取材されてきた色々なことを辞書形式にA~Z の単語別に纏められています。これまでの彼女の著作に字数の関係で記されなかった興味深いことなどが掲載されています。
3月にお知らせを頂いていたのに、自分のことが書いてあるかと思うと何やら気恥ずかしくて、ゆっくりと読ませて頂いたのはもう秋風が吹く頃でした。
『日本』
日本では、先祖代々からの傾向がゆっくりと変化していても、魅力的な香りはすべて「におい」であり「香水」ではありません。日本人は伝統的に自分で香水を消費しないので、彼らの習慣では、少なくとも体に関しては香りをさせません。そしてこの『無臭』という概念が彼らの文化を理解させます、それは周りの多くが豊かであっても、自分自身には与えないようにする、という事象を引き起こすのです… ( Japon の項、冒頭より)
・日本のお香の文化について ・東京で感じた禅(ZEN)の精神と香りについて
後半は
・現代の日本におけるニッチなマーケットにおけるニッチな需要のある香水について
この項に触発されて、私も小さな冒険をしました(笑)11月の香りのおしゃべり会ではご参加くださった皆様にアフタートークでそれについてお話し、香りを体験して頂きました。
今年1年を振り返ると、この11月の香りのおしゃべり会が、来年の会の理想の形の一つであるような気がします。まだ続きそうなコロナの影響下においても、香水を皆で楽しむ為の行い方についてじっくりと考えている年の瀬です。
Comments